結婚20年以上のマイホームなら計2, 110万円の贈与まで非課税
結婚20年以上ならマイホーム贈与を有利に行えます。
但し、マイホームを相続した場合との損得の比較が大切です。
不動産だけでなく購入資金も可
婚姻期間が20年以上の夫婦に対する優遇として、配偶者に、居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭の贈与(いわゆるおしどり贈与)が行われた場合、基礎控除110万円の他に最高2000万円まで贈与税が非課税になります。
居住用であれば、土地だけの贈与も可ですし、店舗兼住宅なら居住用部分だけが対象です。居住用部分が概ね90%以上なら、全部が居住用とされて特例を受けられます。
主な適用条件としては、「贈与の3月15日までに入居しており、その後も引き続き居住する」などが有ります。
うれしいことに、この特例を利用した贈与は、相続開始前3年以内におこなわれたものでも相続財産に含める必要はありません。
そのため相続対策として有効です。
将来、売却する備えとして不動産を共有にしておくと売却の際3,000万円の特別控除をそれぞれが使えますので、実際には、この非課税枠の範囲内で、持ち分を贈与するという利用の仕方が多いようです。
相続との兼ね合いで利用を判断する
しかし、贈与の際は、登録免許税の税率が相続時より高く、相続ならかからない不動産取得税もかかります。一方、相続税には配偶者に1億6,000万円の控除があるため、将来の相続も視野に入れての損得を比較する必用がありそうです。
住んでいる家の土地は評価額を80%下げられる。
被相続人のマイホームや事業用不動産などは、一定面積まで大きな軽減措置がありますが条件には注意が必要です。
被相続人のマイホームの土地は大きく軽減される
小規模宅地の特例とは、一定の条件に当てはまる被相続人の不動産(土地)の評価額を50~80%減額するという相続税の特例です。
遺された家族などの生活や収入の基盤となる不動産にもかかわらず、相続税のために売却せざるを得ないといったことを防ぐためのものです。
適用される土地には、居住用、事業用、貸付事業用と3種類あります。
まず、被相続人や生計を共にした親族が住んでいた土地は、特定居住用宅地として
330㎡までなら本来の不動産評価額より80%減額された額で相続できるというものです。
一方、別居していた家族が相続する場合は、次のような適用条件があります。
- 配偶者や同居していた親族がいないこと。
- 相続開始3年前に、自分や配偶者名義の家、三親等以内の親族などが所有する家に住んでいないこと(借家住まい)。
- その家を過去に所有したことがないこと。
この場合は、特筆すべき点というか、要注意なことが有ります。
別居していた家族で借家住まいの方への適用は、俗に「家なき子特例」とよばれます。
例えば、借家住まいしていて別居していた家族が相続前に中古住宅などを購入し、住宅取得等資金贈与の非課税の特例を利用して被相続人の生前に贈与を受けてしまうと、小規模宅地等の特例を受けられなくなります。
よって相続税と贈与税の特例を比較して、どっちが特になるかを検討しなければなりません。
贈与税の非課税特例は最大でも1,110万円(2,022年4月現在)ですから資産価値が高い家を相続するケースでは評価額の減額が大きくなることから贈与特例を利用しないほうがよいということもあり得ることも理解しておくべきでしょう。
事業用の宅地にも使える
事業などで使われていた不動産も特例のため対象です。
被相続人や生計を共にしていた親族が事業を営んでいた土地は、特定事業用宅地として400㎡までの評価額が80%減額されます。
特定事業用宅地には特定同族会社事業用宅地というものもありますが、これは、被相続人や生計を共にしていた親族が株式の過半数を所有する会社の事業で使われていた土地のことで、特定事業用宅地と同様の扱いとなります。
更には被相相続人が貸していた賃貸不動産や駐車場などの貸付用の土地の場合は、貸付事業用宅地として200㎡までの評価額が50%減額されます。
主な適用条件としましては、
- 相続した人が事業を引き継いで、その後、申告期限までその土地を所有する
- 事業開始が相続開始前3年以内ではないこと。
このように、相続税対策として有用な制度といえるでしょう。
この特例を受けるには、同じ家屋に同居していることが必要になるが「同居」という条件に注意が必要です。
被相続人が老人ホームに入居してしまうと元の家で暮らしている家族が同居に当たるかどうかの線引きが難しくなります。
例えば、入居時に一時金として何千万円も支払って住まいにしてしまう有料老人ホームに被相続人が入る時は、元に住んでいたところは自宅扱いではなくなり、そこに住んでいる家族は「同居」という条件にあてはまらなくなります。
まとめ
今回はおしどり夫婦に対する贈与税の特例と相続税対策の小規模宅地の特例を解説して参りましたが、贈与税の節税額と相続税の減額分を比較してどちらが安くなるか高くなるか、ケースバイケースが有りそうだということがご理解いただけたと思います。
上手に利用することができれば、税金を抑えることができると思いますので細部は税理士さんに依頼して教えてもらったほうがよさそうですね。