不動産を売却した場合は、売却した翌年の2月15日から3月15日の間に確定申告を行う必要があります。
申告をしないと、延滞税を納めなければならないというリスクがありますので絶対に忘れてはいけません。
居住用財産には3,000万の特別控除という特例があります。
不動産を売ると大抵の場合利益がでます。
この利益(わかりやすく言うと儲け)というのは譲渡所得と呼ばれ、譲渡所得に対して所得税と住民税を納めることが必要ですが、正当で適法な節税としての特別な控除です。
たとえば、居住用財産を譲渡した場合は、譲渡益から3,000万円までが控除されます。
これは所有期間が5年超の長期譲渡所得あるいは5年以内の短期譲渡所得いずれに該当する場合であっても譲渡所得が非課税となります。
したがって、居住用の家屋や敷地を売却して得た利益が3,000万円以下であれば、譲渡所得がゼロなので税金がかかりません。
では居住用財産とはいったいどういう意味でしょうか?
売った家が皆さんの自宅、つまりマイホームだった場合のことで、区分所有のマンションも含まれますがアパートなどの投資用は含まれません。
そして3000万円特別控除の主な適用要件としては、家屋に住まなくなった日から3年目の年末までの売却である必要があります。
この特例は売却のケースやタイミングによっては使えないこともありますので注意を要します。
たとえば、親子が同居していて、その後親が亡くなり、子が相続して売却した場合は、子にとっても「居住用の自宅」なので特例が使えます。
一方よくあるケースなのですが、親と子が別々に暮らしていて、その後親が亡くなり、子が相続して売却した場合は、「親が居住していた家」を売ったのであって、子にとっては「自分が住んでいた家」を売ったわけではなく、単なる「空き家」の「実家」を売った「非居住者」にあたるので特例は使えないことになります。
では親が老人ホームに入居していた場合はどうでしょうか?
そうだとしても「親が住んでいた家」に変わりはなく(要件は有るものの)特例は使えます。
その際に後々覚えておいてほしい事があります。
親が老人ホーム等も含めた施設に入居する際に往々にして住所を移さなければなりません。
ゆくゆく売却になると売却物件の所在地と住民票記載の住所が異なることになり、「住んでいた家」という居住用の定義から逸脱します。
そこで「住んでいた」という証明が必要になってきます。
例えば、公共料金の支払い状況がわかるもの等の必要書類を確定申告の際に用意しなければならないことも覚えておきましょう。
一方、次のような場合は使えません。
それは、年老いた父親所有の家に父親と母親が共に住んでいたが、母親のほうが老人ホームに入居した場合です。
ところが残念なことに父親が先に亡くなりました。
その後、その家を母親か子供が相続し、その後売却したとしても、父親が亡くなる直前に住んでいたのは父親だけだからです。
厳しいですねー。
このように「親が住んでいた家」を親が亡くなる前に、つまり相続する前に売っておくか、相続した後に売るかによってもこの特例を「使える」「使えない」の大きな分かれ目になります。
この特例が注目されるケースがもう一つ有ります。
転勤等の理由により建物を賃貸に出す場合は、空き家になってから3年目の年末を迎えるまでに売却すれば3,000万円控除を利用できます。
契約期間を2年に設定して尚かつ定期借家契約にすれば大丈夫でしょう。
しかし2年経過してしまうと残り1年たらずで確実に売らなければなりませんね。
又、以前、賃貸目的で所有していた不動産の場合に特例の適用を受けようとして住民票を移したり、一時的に住んだりして所有者自身が住んでいたいたように偽装して特例を受けようとする事例もあるようですがこのようなことを見逃すほど税務署は甘くなく、「否認」されるのが落ちですので絶対にしてはいけません。
どんな法律にも「適用除外」があるわけですが、この特例の適用除外としては次のようなものが挙げられています。
- 特例を受けることだけを目的とした場合。
- 仮住まいを装ったりして一時的に入居していた場合。
- 別荘(セカンドハウス)として所有していた場合。
3000万円控除を受けるのに居住期間(所有期間)は何年以上なのかという疑問をお持ちの方もいると思いますが、決まりはなく、つまり、1年未満でもOKです。
ただし、特例を受けることだけを目的として一時的に居住したような場合はもちろんいけません。
したがって期間があまりにも短い場合は、生活していたという証明が必要になります。
ちなみに国民健康保険税の算出も所得税及び住民税と同様に特別控除を引いた後の所得で所得割の計算をしますので税額は増えませんのでご心配なく。