媒介契約について

おいかわ不動産

スマホなら↑電話番号をタップ!

媒介契約について

投稿日:

仲介のイメージ

媒介契約といわれても読み方すらわからない

不動産の媒介契約について書こうと思いますが、まず「媒介契約」という言葉が一般的な言葉ではありません。
「媒介契約」(仲介契約ともいう。)これ、「ばいかいけいやく」と読みます。
我々、不動産業者は一般の消費者のみなさんが「媒介契約」をスラっと読めて、どんなものかも把握している前提でことを進めようとする傾向がありますが、そうは問屋が卸しませんよね。
特にはじめて不動産の取引を考えているみなさんが、耳馴染みのない「媒介契約」という言葉を聞いただけで及び腰になるというもの。
そこで、今回は不動産取引がはじめてで、言葉ひとつとっても意味がわからない、だから不安でいっぱいという方に向けて解説しようと思います。

この記事を読んだ後は、不動産取引について少しは自身が持てているといいのですが…。
それでは解説していきましょう。

媒介契約の必要性

不動産の取引には売主と買主が存在します。
そして売主と買主のことを取引上「当事者」と表現することが多いです。
当事者が不動産業者の場合、不動産の専門家なだけあって売りたい場合も、買いたい場合も自力でなんとか取引できると思いますが、当事者が一般の方の場合、
「その物件買いたいです!」とか、「この物件に興味があります!」という人をどうやって見つければいいのか。

TwitterやInstagramなどのSNSで「この家売ります」なんて告知してみる。
いまや時代は何をするにもSNS。
もしかしたら興味を持ってくれる人を探せるかもしれない。

そのあと、物件を一度見てみたいというお相手とスケジュールを合わせて見学の機会をもつ。
問題はその後くらいから…。
お相手が「この物件買います!契約します!」となった場合。
契約すればいいのだから契約書が必要。
今や時代は何をするにもGoogle検索。
「不動産 契約書 フォーマット」なんて検索すれば、いくらでもフォーマットが画面に現れる。

…が、そこは多くの人において人生で一番高額な買い物となる不動産。
契約書面の内容も見慣れない文言だらけ。
債務不履行?契約不適合?建物の状況調査?
だんだんと不安になる。

不慣れな当事者が自力で不動産の取引をしようとすると、かなりの確率でどこかでつまづくような気がしませんか。
契約まで進めることができて、奇跡的に引渡しまで進んだとしても。
引渡して見たら、売主も知らなかった雨漏りが存在した。
売主の厚意でエアコンをつけたまま置いていってくれたのはいいけれど動かない…とか。

こういう問題があった場合、売主に責任があるのか?買主の負担なのか?
そんなことも起きるかもしれません。

多くの方が人生で1回しか経験しない不動産の取引。
投資家とかで何度も経験する方は別ですが…。
世の中にひとつしかない不動産という財産を取り扱うため、責任の所在や権利の範囲をはっきりさせておく必要があります。

だから、不動産業者を上手に使うことが重要なのです。
「媒介」というのは当事者の間に不動産業者が介在して、取引がスムーズに進むようにフォローする仕事のことなのです。

世の中には媒介の仕組みを使ったシステムが結構ある

実は世の中には、この媒介の仕組みを使ったシステムがあらゆる所で存在します。
きっと、ここまで読み進めていただいて「なるほどね、これ私がやってる仕事じゃん」とか「あ、オレの仕事と同じだ」と思っていいただいている方もいるかもしれません。

マッチングアプリや結婚相談所

インターネットが主流の現代、人と人が出会う機会も少ないと聞きます。
マッチングアプリや結婚相談所に情報を登録する。
すると理想の相手から問い合わせが届いたり、結婚相談所のスタッフから条件に合いそうなお相手を紹介してもらったり。
人と人との媒介です。

仕事紹介や人材スカウト

こちらも媒介という仕組みを使っていますよね。
人材が必要な事業者と仕事を探している人を紐づけるシステムです。
近頃の求人市場は、これまでのようなどんな仕事も、どんな会社も…というゼネラルな働き先の紹介というよりは、業界や業種がはっきり分けられた専門的な情報を取り扱う傾向がみられます。

クラウドソーシング

専門スキルを必要としている人と自分の特技を活かしたい人を結びつけるサービス。
対応してくれる人なんていないのではないかと思うようなディープなスキルも。
こういったシステムを利用すると対応してもらえる。
これも媒介の仕組みを使っています。

ほかにも自動車業界や携帯電話の通信事業などもそうではないでしょうか。
日産やトヨタが、工場でできたてほやほやの自動車を販売することはありませんよね。
間に自動車ディーラーなどの販売会社が入ります。
自動車ディーラーも表向きは自動車メーカーの名称を使っていますが、もとをたどると地元の自動車工場だったりします。

携帯電話もそうです。
ドコモやソフトバンクが、直接スマートホンを販売することはありません。
町中にある携帯ショップで販売します。
あの携帯ショップも自動車ディーラー同様に、メーカーの名称は使っていますが、もとは地元の事業者さんだったりします。

世の中をみると媒介のシステムがたくさんあることをあらためて実感します。

媒介で取引が成立すると手数料が発生する

不動産に限りませんが、媒介によって取引がまとまった場合、当事者は媒介してくれた会社に、お礼として手数料を支払います。

不動産の取引なら仲介手数料。
自動車にしても、携帯電話にしても、販売が成立するとメーカーから販売奨励金的なインセンティブが発生します。
クラウドソーシングもスキルがマッチングすれば、クラウドソーシングの運営会社に手数料を支払います。

媒介する事業者にしてみると、この仲介手数料や販売奨励金や手数料が利益となるわけです。

媒介を利用するメリット

すでにメリットをお感じになっている方もいらっしゃるかもしれませんが、媒介に事業者を介在せるとこんなメリットがあると思います。

  1. 取引の相手を見つける手段を持っている
  2. 取引に必要な書類を作成してもらえる
  3. 取引代金の支払いと回収をコントロールしてくれる
  4. 取引上の疑問などがあっても取引慣習や法解釈の知識が豊富
  5. 取引でトラブルが発生した時にも解決につながりやすい

不動産は媒介契約を締結する

これまでに媒介の仕組みを活用した世の中のサービスを紹介しましたが、紹介したどのサービスと比較しても不動産は高額商品です。

高額商品なだけに取引が成立した場合の手数料も高額となります。
当事者が、あちらの不動産業者さんに媒介をお願いし、こちらの不動産業者さんに媒介をお願いする。
このように、不動産ではひとつの物件を複数の不動産事業者さんに媒介をお願いすることも可能です。

大都会の不動産だと取引価格も高額になり、一度の取引で受領する手数料で、その事業者の年間売上を達成できてしまうような取引も存在します。
そのレベルの取引で「媒介」のフックが甘い場合に起こりがちなのが、誰が関与したかという問題です。

「あの情報はウチが提供したんです。」
「でも、この図面は私が提供したものよ。」
「まてまて、あの人はワシを媒介業者にすると言ったのじゃ。」
「先日は、あたくしのところにもメールで確認があったざます。」

こうなると取引どころではなくなってしまいます。

そこで存在するのが「媒介契約」です。
当事者が取引のフォローをしてもらう不動産業者に「媒介」を依頼した証拠となります。
そして、この内容を書面にしたのが「媒介契約書」です。

媒介契約で取り決める内容

これまたややこしい話ですが、「媒介契約」は3種類存在します。
当事者の取引の自由度と不動産業者への依存度によって取り決めの内容が異なります。

それぞれの「媒介契約」では次のような内容に取り決めが存在します。
①同時に複数の不動産会社に「媒介」を依頼可能か
②自分で取引相手を見つけることが可能か
③「媒介契約」の期間
④「媒介」を依頼された不動産事業者の指定流通機構への登録義務
⑤販売活動の報告期日

①同時に複数の不動産会社に「媒介」を依頼可能か

当事者にしてみると販売チャネルを複数持っていたほうが、早期に取引相手が見つかりそうな気がしますよね。

しかし取り扱う商品は高額取引となる不動産。
専門家の不動産業者なら簡単に取引相手が見つかるかというと、そう簡単にはいきません。

また、複数の不動産会社に「媒介」を依頼できるので、不動産会社によっては「ウチの会社で取引成立しなくても、あちらの会社で取引が成立する可能性がある」という状況は、手数料を受領する立場が不安定なものになります。

短期間で取引相手を見つけるなら、「媒介」を依頼する不動産業者は絞り込んだほうがスムーズに取引相手が見つかるといえそうです。

②自分で取引相手を見つけることが可能か

自分で取引相手を見つけられるくらいなら、「媒介」を不動産会社に依頼しないでしょうからあまり気にしなくていい取り決めです。

③「媒介契約」の期間

人間というものは悲しいかな飽きる動物です。
「媒介」依頼されて、その「媒介」が一社のみの依頼で単独で取引相手を探すことができるものであっても、依頼された当初は集中力もあり頑張って取引相手を探しますが、その集中力は長続きしません。

集中力のなくなった不動産業者に単独で販売活動を依頼していては、いつまで経っても取引相手が見つかりません。

そこで「媒介契約」には契約期間の最長期間の取り決めがあるのです。

④「媒介」を依頼された不動産事業者の指定流通機構への登録義務

「媒介」を依頼された不動産業者は宅地建物取引業法のルールで、依頼された物件を指定流通機構に登録する必要があります。

指定流通機構というのは不動産業者のみがアクセスできる物件のデータベースです。
このデータベースには日本中の不動産業者がアクセスします。
ほかの不動産業者は自社で対応している顧客が気に入ってくれそうな条件の物件があると、買主側の「媒介」業者として、物件を紹介してくれないかと問い合わせてきます。

売主側と買主側、それぞれの「当事者」に「媒介」業者が存在すると仲介手数料も折半にしなければならないので、売主側の「媒介」業者の利益は減りますが取引が成立しないよりはマシなので客付けをお願いすることになります。

このように「媒介」業者が複数存在すると、業者の頭数で仲介手数料を分けなければならない。
それは、「媒介」業者の利益が減るということ。
そこで、「媒介」業者は自社だけで取引相手を見つけようとします。
自社で取引相手が見つかって取引成立となれば双方の「当事者」から手数料を受領できるからです。

しかし、もし取引相手を見つける能力が低い不動産業者に「媒介」を依頼してしまった場合、自社だけで取引相手を見つける活動をしてもらっていても、売主にとってはいつまでたっても物件が売れないというリスクになります。

そのようなリスクを避けるために、宅地建物取引業法では「媒介契約」を締結してから一定期間内にデータベースに物件情報を登録しなければならないルールが存在するのです。
そうすることで、全国の不動産業者が買主となる取引相手を探してくれるからです。
「自社で取引相手を探してもいいけれど、探すなら早く探しなさいよ」というルールです。

⑤販売活動の報告期日

「媒介契約」をお願いしたのはいいけれど、どんな販売活動をしているの?
問い合わせは何件くらい来ているの?
「当事者」は販売状況が気になります。
そこで宅地建物取引業法では販売状況の報告スパンを取り決めています。
これにより、一定期間に一度の頻度で依頼者に状況を報告する義務があります。

3種類の媒介契約

①一般媒介契約

3種類の「媒介契約」の中では一番ライトな契約です。
複数の不動産業者に「媒介」を依頼することができます。
もちろんレアケースの自分で取引相手を探すことも可能。

契約の期間については実は定めがありません。
不動産業者がよく利用する保証協会発行の契約約款の中では3ヶ月と謳われています。
指定流通機構への登録や販売状況の報告についても義務ではありません。

「当事者」にとっても不動産事業者にとってもライトな「媒介契約」といえます。
ライトが故に不動産業者の力の入れ具合もライトになる…こともないとはいいきれません。

②専任媒介契約

3種類の「媒介契約」の中では、いろいろな意味で真ん中の契約です。
依頼できる不動産業者は一社のみで複数の不動産業者に依頼はできません。
レアケースの自分で取引相手を探すのは可能です。

契約の期間は3ヶ月以内と定められています。
締結から3ヶ月を経過すると終了する契約です。

指定流通機構への登録は契約の締結から7日以内に行う義務があります。
販売状況の報告も2週間に1度以上の頻度で行う義務があります。

おそらく一番多く締結される契約で、「媒介契約」のスタンダードといえます。

③専属専任媒介契約

3種類の「媒介契約」の中では、制限が一番きびしい契約です。
依頼できる不動産業者は一社のみ、自分で取引相手を探すこともできません。
取引相手探しは不動産業者におまかせのプランです。

契約の期間は3ヶ月以内、指定流通機構への登録は契約の締結から5日以内に行う義務があります。
販売状況の報告も1週間に1回以上の頻度で行う必要があります。

1週間に1回以上の報告ってどうなんでしょう。
さすがに不動産業者も負担に感じると思います。

まとめ

媒介契約について解説してみましたが、読み始める前と比べて気持ちに変化があったでしょうか。
とにかく、不動産は人生で一番高額な買い物となることが多いため、法律で定められたルールや不動産取引の慣習を理解していないとスムーズに進まないことがあります。
そのためにいるのが不動産業者です。

物件価格の3%を超える、それなりの金額となる仲介手数料を支払うお相手ですからね。
支払う金額にふさわしいフォローが期待できるはずです。
わからないこと、不安なこと、こんなこと聞いたらどう思われるだろう…なんてこと、取引相手には聞きにくいことも不動産業者を介して確認してもらいましょう。

皆様のライフスタイルに合った「媒介契約」を締結して、ステキな不動産取引が成就することをお祈り申し上げております。

サイト内検索はこちら

メールでのお問い合わせはこちら
※メールでのお問合せは365日24時間受け付けております。
友だち追加
上のボタンをクリックするとLINEが開き物件のお問い合わせができます!