本来自分が住んでいた家を売った時は売買金額が3,000万円までは税金がかからない(居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除)ことは多くの皆様はご承知かもしれません。
もっと言うと、自分が住んでいない家であっても、相続した家やその敷地を売った場合についても、一定の要件に該当するものはやはり3,000万円までは税金がかかりません。
正式名称は「空き家に係る所得税の譲渡所得の特別控除の特例」といい国税庁のホームページに有ります。
ところがです。
「一定の要件」というのが問題なのですよ。
法律によく出てくる、法律をつくる官僚がよく使う文言ですよね。
その要件の一つに、【適用対象となる「被相続人居住家屋」は昭和56年5月31日以前に旧耐震基準の下で建築された家に限定されています。】というのが有ります。
単に古い家というのであればまだ理解できますが、要件に「相続人が必要な耐震改修をしなければならない」、旨のことがあります。
単に古いからリフォームをすればよいというのではなく、「耐震改修」を行った後に譲渡すると3,000万円の特別控除が受けられるというわけなのです。
極論かもしれませんが、個人が売るのにお金がかかる「耐震改修」をしてまで中古住宅として売る人がどこにいるのでしょうか?
これは現実問題として、はっきり言って使えないと思います。
まだ救えるのは、土地の譲渡のほうです。
被相続人(つまり亡くなった親とか)が住んでいた家を解体して更地にして売る場合はこの特例を利用できます。
空き家が古くて使えない場合はいずれお金がかかっても解体せざるを得ません。
但し、相続時から解体の時まで貸家にしてたりしていないこと、という条件が有りますのでご注意ください。
例えばよくあるのが親が老人ホーム等に入って亡くなるまでの間、人に貸していたというのはダメです。
あと一つ忘れてならない要件、「相続の開始の直前において、被相続人以外に住んでいる人がいなかった(つまり、被相続人だけが住んでいた)こと)」は、つまり相続人が空家に住んでいたのではダメということです。
これは、要件を満たしていることを証する添付書類のなかに「被相続人居住用家屋の譲渡時又は解体時の相続人の住民票の写し」がありますからごまかさないでくださいね。
尚、解体後になかなか土地が売れずに更地状態が翌年にまたがると、住宅用地の特例が受けられなくなり、固定資産税が高くなるため注意が必要です。
その他の必要な添付書類
- 被相続人の除票住民票の写し
- 家を解体した場合は建物滅失登記後の閉鎖事項証明書の写しとその家の解体前と解体後の写真
- 家又はその敷地等の売買契約書の写し等
- 水道の使用中止届の写し又は売った家の担当不動産業者が、その現況が空家であり、かつ、解体予定があることを表示して広告していることを記載した物件資料等他。
それと期限も有ります。
相続の時から、「その相続の開始があった日以後3年を経過する日の属する年の12月31日までの期間の譲渡」に限られます。
これは本来の「居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除」と変わらないですね。
単純に相続してから3年と覚えておいてください。