2007年05月30日
不動産売買における消費者契約法

≪質問≫
今年始めに土地を購入しました。その際に「地盤は問題ない」と不動産業者に言われたのですが、購入してから地盤調査を行ったところ、ハウスメーカーの担当者から「地盤強化工事をしないと住宅を建てられない。」と言われました。売主の瑕疵(かし)担保責任は問えるのでしょうか?ちなみに、売買契約書で瑕疵担保責任は「2か月以内」となっています。

≪回答≫
瑕疵担保責任を問えます。具体的には地盤強化工事にかかった費用を損害賠償請求することができます。

瑕疵

「瑕疵」とは、文字通り(疵「し」=きず、欠点、欠陥)です。対称物件が通常備えていなければいけない品質・性能、又は当事者が表示した品質・性能に欠けるところ(欠陥・不具合)があることです。住宅地用として買った土地が地盤強化しないと建物が建てられないというのはまさにこれにあたります。

隠れた瑕疵

「隠れた瑕疵」であることも必要です。買主が一般に要求される程度の注意をしてもわからないような瑕疵、あるいは瑕疵を知らず、かつ、知らないことに過失のない場合の瑕疵(買主の善意無過失)。つまり、買主が、売主より告げられた瑕疵、すでに知っている瑕疵、普通の注意をすれば知りえた瑕疵は、「隠れた瑕疵」にあたらず、瑕疵担保責任の問題にならないことになります。一方、瑕疵の存在について売主側に故意や過失はいりません。無過失責任と言われます。

担保責任の行使期間

ご質問の契約では、瑕疵担保責任は「2か月以内」とあります。民法は、買主が解除権と損害賠償請求権を行使できる期間を「瑕疵を発見してから1年以内」と規定しています。しかし、この規定は任意法規であり、当事者がこの期間を自由に決められます。例えば、個人が売主の場合は、当事者の合意により、「瑕疵担保責任を負わない」旨の特約が可能です(最近は、個人との契約は瑕疵担保期間を「「物件の引き渡しの時から2ヶ月以内」とする場合が多いです)。このように個人が売主の場合、瑕疵担保責任が、契約によって免除されている場合も多く、この場合、瑕疵があったとしても原則として売主に瑕疵担保責任の請求をすることはできません。したがって、中古物件を購入する場合は購入前に物件をよく調べておく必要があります。

一方、不動産業者が売主の場合は、宅地建物取引業法によって瑕疵担保責任期間を厳しく決められています。「引渡しから2年以上」とする特約以外には認められません。違反するとその特約は無効です。従って不動産業者は民法の原則通り「事実を知った時から1年間」の瑕疵担保責任を負わされます。

「消費者契約」とは

平成12年にできた消費者契約法によりますと、「消費者契約」とは、消費者と事業者との間で締結される契約をが規制されます。(消費者対消費者の契約には適用されません。)不動産売買契約が消費者契約法の取引に該当すると、消費者契約の目的物に隠れた瑕疵があるときに、当該瑕疵により消費者に生じた損害を賠償する事業者の責任の全部を免除する条項は無効になります。例えば、次のような条項は無効です。(売主が宅地建物取引業者、買主が消費者に該当する場合)

「本物件に隠れた瑕疵があった場合、売主はその責任を負わないものとします。」

また宅地建物取引業者でなくとも、法人が、民法で定めるより買主である消費者に一方的に不利な特約を結んだ場合も無効になります(消費者契約法10条)。例えば、

「瑕疵担保期間を引き渡し後2か月」

とする約束は無効となります。ここでも民法の原則に戻り、瑕疵の事実を知った時から1年間瑕疵担保責任を問うことができます。

「瑕疵物件」だった場合の対応

契約の目的物に瑕疵があるときの担保責任の内容は、契約の目的を達することができなければ契約解除ができます。それ以外の場合は損害賠償請求または瑕疵の修補請求ができます。一般には損害賠償請求または瑕疵の修補請求で解決することが多く、解除にまで至る例は少ないのが実情です。売主に起因する瑕疵でない限り、売主も被害者であるケースがほとんどですし、そして仲介業者も同様です。売主はもちろん仲介業者を追い詰めすぎないように瑕疵の修補を請求し、損害賠償請求は行なわずに穏便に済ませることがよいでしょう。

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